DXプロジェクトを上手く進めるコツ、ゲート法

ゲート法

前回は、新規ビジネスのアイデア出しミーティングを上手く進めるためのグランドルールを紹介しましたが、今回は新規ビジネスを実現するDXプロジェクトを上手く進めるために有効なゲート法の紹介です。

ゲート法は、プロジェクトの進行状況を段階的に評価するための手法です。

 一定のマイルストーンごとに承認を得て次の段階に進むことで、プロジェクトが目標を達成しているかどうかを判断し、ゲートを通る(次の段階に進むか)か通らない(やめるか)を決定します。これにより迅速な判断ができ、組織内での意思決定の透明性が高まり、プロジェクトの成功確率を高めることができます。

 従来のウオータフォール型のシステム開発アプローチだとカットオーバーまでやめられない場合が多いですが、新規ビジネス立ち上げの場合、せんみつ(1000のアイデアの内、ものになるのは3つ程度との考え方)と言われるようにユーザー目線で考えたアイデアもプロトタイプを作って検証してみたら、実は効果が少なく途中でやめて、次のテーマに移った方が良い場合も多くでてきます。この判断をしやすくするための1つの技法としてもゲート法が有効です。

5つのゲート

例えば、デザイン思考を活用して新規ビジネスアイデアを出し、実ビジネスにしていく場合、有効なゲート(マイルストーン)は5つ想定できます。

1)プロジェクト立ち上げゲート

プロジェクトの目的、プロジェクトチームの構成、利用者ニーズや問題の洗い出しなど、デザイン思考に基づいたフェーズを適切に定義することが重要です。

2)ユーザー調査ゲート

 利用者ニーズや問題を明確に把握し、それらを解決するためのアイデアを出し、そのアイデアが利用者に受け入れられるかどうかを確認することが重要です。

3)プロトタイプゲート

アイデアをプロトタイプに落とし込み、利用者にフィードバックをもらいながら改善を繰り返し、最終的なプロトタイプが利用者のニーズを満たしているかどうかを判断することが重要です。

4)開発ゲート

本番適用に向けた開発が進められ、品質やスケジュールの管理、テストの実施などが適切に行われているかどうかを判断することが重要です。

5)カットオーバー移行ゲート

開発が完了し、カットオーバー(サービスイン)への移行が可能かどうかを判断します。

 ゲートを設けることにより、プロジェクトの進捗状況が評価でき、リスクを最小限に抑えることができます。また、迅速な意思決定によりプロジェクトの成功率を高めることができます。
 ただ、ゲート法の運用をしっかり進めようとするあまり、承認を得るための文書作成や会議の手続きに時間をかけることは本末転倒であり、本来の利用目的には合致しません。

 ゲート法はプロジェクトの目標や状況に応じて、必要な段階と承認基準を最初に設定して、柔軟に適用していくことも重要となります。
 新規ビジネス開拓等の不確実なプロジェクト推進で是非、活用頂ければ幸いです。
 次回もDX推進に有効な手法について説明していきたいと思います。

(ITコーディネータ 菅 信嘉)