Web3.0の技術について

著作者:Freepik

【Web3.0とは】

最近、Web3.0(ウェブスリー)という言葉を耳にする機会が増えています。これはデジタル社会実現に向けたデジタル技術の概念としてイギリスのコンピュータ科学者でブロックチェーン注1基盤(仮想通貨などで利用)のイーサリアム共同創設者ギャビン・ウッドによって提唱され、世界各国でも注目されています。また国内では、経済産業省が昨年5月の「経済秩序の激動期における経済産業政策の方向性」の資料でもWeb3.0における期待事項とリスクに触れ、政府としてどう向き合うか説いており、普及、推進に向けた活動をデジタル庁含め検討しています。

今回のテーマは、前回の「Web3.0の概要と歴史について」に続き、どのような技術があるのか、その概要を説明していきたいと思います。

 

■第二回 Web3.0の技術について

 Web3.0は簡単に説明すると、ブロックチェーンをベースにしたイーサリアム(仮想通貨であり、プラットフォームでもある)上で動く技術の総称となります。

今回は、その中でもWeb2.0と比較し恩恵を受ける可能性の高い、デジタルアートのアーティスト、ミュージシャンなどが主導する経済圏構築に必要なNFT、DAOを説明していきます。

 

【NFT(Non Fungible Token)】

NFTとは日本語で「非代替性トークン」と呼ばれ、替えが効かない、唯一無二の情報をデジタルデータに付与したものです。具体的にはデジタルアート、音楽、ゲーム、漫画(デジタル)などに付与することで、唯一無二のものとしてデジタルデータに資産価値を持たせることが可能です。

事例としては新潟県の山古志村で「錦鯉」をモチーフにしたデジタルアートを仮想通貨で販売し、購入者は「デジタル村民」として仮想世界の中で、居住しなくても村おこしや自治活動ができ、経済効果を発生させます。また、音楽ではNFTを付与することで2次流通(購入者が別の方に販売)しても作者にインセンティブが入ることが可能で、クリエーターに大きなメリットが生まれます。

ちなみに代替性のものとしてお金があります。例えば千円を支払う場合財布の中に数枚の千円札があったとして、どの千円札を利用しても問題はありません。これが代替性(Fungible Token)の考え方です。

 

【DAO(Decentralized Autonomous Organization】

DAOは分散型自立組織といい、GAFAM注2などに管理されることなく個人が個人情報などを独自管理しながら構築できるブロックチェーンネットワーク上の組織です。その条件として以下があります。

  • 集権的な管理者を持たず、参加者が運営する
  • 誰でも参加することができる
  • 透明性と公平性を持つ

 

つまりWeb2.0の問題点である、巨大プラットフォーマーGAFAMによって、膨大な個人情報がそれらに集約され、サイバーテロや不祥事などによる漏洩リスクや消失リスクが上昇したこと、中央集権・独占やプライバシーの侵害などを解決する組織の考え方、技術がDAOとなります。

 

いかがでしたでしょうか? Web3.0については奥が深いこともあり、以下私のサイトでも動画で説明しています。理解を深めるためにも一度ご覧いただければと思います。

動画はこちら

 

【用語説明】

(注1)ブロックチェーン:仮想通貨を実現するための技術として開発され、ブロックと呼ばれる単位で管理されたデータ(過去のデータ)を鎖(チェーン)のようにつなげたもの。ブロックの中身には取引履歴とハッシュ値と呼ばれる、過去のブロックとの整合性を取るための値が記録されている。ブロックチェーンの特徴としては悪意のある人物(攻撃者など)がブロック内のデータを改ざんしても、過去のブロックとのハッシュ値の不整合が発生し改ざんを検知でき、かつ過去のブロックのハッシュ値を変更することは極めて難しいため、仮想通貨に必要な信頼度に優れている技術。

(注2)GAFAM:巨大IT企業Google Amazon Facebook Apple Microsoft の頭文字をとったもの

(ITコーディネータ 太田 雅一)