DX時代に中小企業がITツールを導入する際のポイント

DXのポイント

 

効率化のその先へ

業務で扱うITツールは様々ですが、貴社がITツールを導入している、またはこれから導入しようとする理由は何でしょうか?

効率化、つまり生産性向上を目的としたツール導入のご相談が良く見受けられます。確かにITツールを導入することで生産性が上がるケースは数多くあります。ツール導入時に生産性向上を目的にすれば、後で成果も見えやすく効果を実感しやすいということもあります。

 

ただ、経営者の方においては、生産性向上ということは、あくまでも既存ビジネスを前提とした話に留まることが多いということに注意していただきたいところです。最新のツールを使ってもAIやIoTを使っても、1つ1つの業務の効率化ではDXと言い難いのが基本です。きっかけは生産性向上であったとしても、できれば少し先のDX化を見据えていただきたい思いがあります。もちろん各企業様それぞれのご事情はございますので、状況次第ではありますが。

少し古いデータですが、経済産業省が令和4年に発表した「DXレポート2.2」においても、同様の懸念が話題に挙がっています。

▼「DXレポート後も変わらない効率化中心の投資」4ページ

現状でも、多くの企業でDXに至っていない実態があるといえるでしょう。

なぜ今、変革が必要なのか?

経済産業省が発表しているDX推進ガイドラインで提唱されているDXの定義は「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」となっています。

DXは「製品やサービス、ビジネスモデルを変革」し、「業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革」することなのです。

 

変化が必要だというのは、いつの時代も言われていることですが、なぜ、今になって変革の重要性が前面に出るようになったのでしょうか。よく言われる働き方の変化や消費者行動の変化などもありますが、一番はデジタル技術を使ってビジネスモデルを大幅に変えてきた、ゲームチェンジャーが各産業で登場していることだと言えます。

ゲームチェンジャーの例として、近年出てきたカーシェアリングやメルカリが業界に与えた影響がイメージしやすいでしょう。このように業界のルールを変えてしまうようなプレーヤーが「ゲームチェンジャー」です。

ITツール導入にあたって

さて、ITツールに話を戻します。このようなDX時代に各種ITツールを導入する場合、特に注目したいポイントは下記の通りです。

・何年もかけて導入開発をするようなシステムではなく、小さいステップで着地させるスタイルで導入を進める(アジャイル開発※など含め)。

・ITツールの導入を完了したことで終わりではなく、運用こそが肝。運用時の体制、予算をきちんと確保する。

・「絶対的な答えを教えてくれ、それに従えばうまくいく」スタイルのコンサルティングを求めるのではなく、「内発的動機付けを元に社内でリードしていく」ことで、現場が納得感をもって推進できる自立型で進める。

・ITツールを使って採取したデータを活用してどのようなアイデアや変革に結び付けるか、複数の従業員で検討する場を継続してもつ。

 

※アジャイル開発:ソフトウェア開発などにおけるプロジェクト開発手法のひとつで、小単位で実装とテストを繰り返して開発を進めていく方法。

 

さいごに、何から手を付けていいか分からないという方、なかなかDX化が進まないなどお悩みがございましたら、ITC-EXPERTの専門家にお気軽ご相談ください。

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(ITコーディネータ 中山 幸子)