DXはなぜ進まないのか
DXは日本にとって重要な施策であることは誰もが認識していることでしょう。
しかし、思うように進んでいない現実があります。
多分、10年経ってもあまり変わらないのではと思っています。
古くはe-Japan構想の時から躓いていました。「2005年までに 世界最先端のIT国家になる」というスローガンが見事に砕け散ったことからもわかります。
なぜ、DXは進展しないのでしょうか。何が進行を阻害しているのでしょうか。考えられる原因はいくつかあります。
(1)トップ自身がDXの重要性を認識していない
(2)正常性バイアスがかかっている
(3)部門別最適で満足している
(4)DXを推進する人材がいない
(5)レガシーシステムが足かせになっている
思うに(1)~(3)という内面的な問題が一番大きいのではないのかと考えます。共通していることは「困っていない」 という感覚です。
人間は困っていなければ苦痛を伴うような変革にチャレンジしようとは思いません。
(4)、(5)は後付け の理由でしょう。困っていれば運転資金同様に人を何とか調達しようとするでしょうし、古いシステムを捨て去る決断もできる はずなのです。
この「困っていない」という表層的な意識を脱却するリテラシー教育が圧倒的に日本には足りないのだと思います。 ではこのリテラシーをどう育てていけばよいのでしょうか。
まず、差別化を図っていかなければ立ちゆかなくなることを認識してもらう ことから始めましょう。リーダーシップ論の第一人者であるジョン・P・コッターによると変革意識を持つ第一歩は競合分析をすること であるとしています。
他社を知ることにより自社に優位性がないことを理解し危機感を持ってもらうことです。 しかし、危機感を持ったからと言ってすぐITに飛びついてはいけません。IT導入がそのまま優位性につながるとは限りません。 ITはいったん脇に置いておき、ビジネスモデルや業務プロセスの刷新に取り組むべきなのです。
取り組むといっても思いつかない とおっしゃる方はITコーディネータなどの専門家に相談してみましょう。きっと糸口が見つかると思います。
(ITコーディネータ 並木 政之)