DXプロジェクトを上手く進めるコツ、データ活用が重要

DXプロジェクトを進めるコツ

異常ともいえる酷暑が続きますが

 以前、新規ビジネスを実現するDXプロジェクトを上手く進めるために有効なゲート法のご紹介をしましたが、今回はDXのD、つまり、デジタル化の話です。デジタル化する必要のあるデータを把握(見える化)し活用することが重要になるという内容です。

「データ活用が重要」との話は業務改革でシステム導入をする時は当たり前に行っていることですので新しい話では無い、と思われるかもしれませんが、DXではデータをコンピュータで処理できるようにするだけでなく、さらにX(トランスフォーメーション)変革に活用していくことが重要となっています。

例えば、研究開発に強く新素材を世に多く出している製造業では、DXプロジェクトとして、研究開発の過程で生み出されたデータをコンピュータシステムに格納し見える化するだけでなく、データを整理し、AIによる分析をすることで材料開発の期間短縮とコスト削減を進めています。
これにより既存製品の改善や新製品の開発、市場ニーズに合った製品提供を加速できます。
この例は製造業での取り組みですが、製品販売や顧客管理などの業務を行っているサービス業でもデータ分析を活用することで、顧客ニーズの把握やマーケティング施策の改善につなげることができています。

データ活用に主眼を置いたDXプロジェクト事例をご紹介しましたが、データのデジタル化・活用によるビジネス変革・新ビジネス展開を進めるためには下記4ステップを意識して進めていくことが重要です。

1)実データの明確化

対象業務領域内で自社がどのようなデータ(研究開発であれば素材、実験結果、検査結果、論文、特許情報等)を持っているか、または自社以外でもどのようなデータが業界、他社で活用されているか把握する。

2)実データのデジタル化

実データがコンピュータシステム上のどこ(データサーバ、データウエアハウス等)に格納されているかを確認し、格納されていないデータがあればコンピュータシステムから誰でも参照できるようにするため、デジタル化して格納する。

3)デジタルデータの資産化

デジタル化されたデータにどのようなものがあるか、どこに格納されているかを整理・見える化(論理データモデル図(注)を作成する等)し、データ分析、共有・連携ができる状態にする。

4)資産化されたデジタルデータを活用し、新規ビジネスでの価値化

資産化されたデータをAIによる分析で活用することで、新製品開発・新規顧客創造を進めていく。または、自社内の全部門でデータ共有・連携をすることで、業務効率化、業界連携を進めていく。
さらに活用の範囲を広げ、業界や他業界への資産化されたデジタルデータの有償提供することで、自己資産による利益創出も進めていく。

データは宝の山です。ただし、宝にするためにはビジネス変革、新規ビジネス展開のためにはどんなデータをデジタル化して資産化しないといけないかまずはしっかり明確にする。その後、どのように活用していくかを検討していく必要があります。
是非、DX推進に向けてデータ活用を意識して進めて頂ければ幸いです。
次回もDX推進に有効な手法について説明していきたいと思います。

(注)論理データモデル図とは、データベースへの実装を意識せずに現実の事業(業務)データとデータの関係を図化して正確に表現したもの

(ITコーディネータ 菅 信嘉