改めてITリテラシーについて考えてみよう

私の担当回では、情報セキュリティに関する記事を提供します。
第2回は「改めて、ITリテラシーについて考えてみよう」です。

SNSでの発信を企業や社会から責任追及される事案が続々と発生しています。
おそらく発信者は、限られた仲間に向けて、自らの武勇伝を吹聴することで、承認欲求を満たすつもりだったのでしょう。ところが、発信の共有は仲間内に留まらず、発信者とは無関係な多くの人に対して自己の違法な行為や迷惑行為が晒され、最終的には法的、社会的な責任を負うことになっています。

このような事案の発生の背景には、発信者のSNSに対する認識の甘さや発信の内容への配慮不足があるのではないでしょうか。
SNSというのは繋がるためのツールであり、情報を伝播、拡散する事がその本質と捉えるべきでしょう。利用するSNSによっては公開先を限定する機能を持つものもありますが、発信した情報は受信者による保存や転送を容易に行うことができます。SNSにより発信した情報は、自らの意図を越えて共有されるものという認識を持つべきです。


また、発信する情報は発信者にとっては無価値な情報であっても、受け取る側の立場によっては看過できないものであったり、無視できない影響を持つ情報であったりする可能性があります。SNSに対して発信するということの意味や影響については、十分に考えて行動しなければいけません。

現代は、自宅に居ながらショッピングしたり、遠隔地での事業に参画できたりとインターネットやSNSを上手に使いこなすことは個人の生活の利便性を上げるだけのものではありません。また、多くの企業はSNSをビジネスに利用しており、企業広告や業務支援のツールとして活用する機会も多くなっています。
このような現代の個人生活にもビジネスにも必須の能力、それが「ITリテラシー」です。


厚生労働省は、「2017年の平成29年度ITリテラシーの習得カリキュラムに関する調査研究報告書」の中で、「基礎的ITリテラシー」を「現在入手・利用可能なITを使いこなして、企業・業務の生産性向上やビジネスチャンスの創出・拡大に結び付けるのに必要な土台となる能力のこと。いわゆるIT企業で働く者だけでなく、ITを活用する企業(ITのユーザー企業)で働く者を含め、全てのビジネスパーソンが今後標準的に装備することを期待されるもの。」と定義しています。そして、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、ITリテラシースタンダード IT Literacy Standard(ITLS)<初版>「ITLSの概要」で、「社会におけるIT分野での事象や情報等を正しく理解し、関係者とコミュニケートして、業務等を効率的・効果的に利用・推進できるための知識、技能、活用力」とITリテラシーを定義しました。


これらの定義に挙げられているように、ITリテラシーとは事業や業務に活用したりする能力のことであり、単なるPCの操作方法を知るといったことだけではないのです。

経営者や会社員として、情報社会の構成員として、今一度ITリテラシーについて考え、学んでみるべきではないでしょうか。
ITリテラシーを学ぶために、差し当たっては、他の人のIT活用事例を収集することから始めるのはいかがでしょうか。利用しているソフトウェアやサービスを自分の事業や業務に活用したり、参考にしたりすることが出来ると思います。ニュースで取り上げられる企業のIT活用事例に注目したり、友人や同僚と情報交換をしてみたりなど、身近なところからアンテナを広げることであれば、簡単に始められるのではないでしょうか。
また、専門家の話を聞くのも良いでしょう。当ITC-EXPERTのセミナー委員会によるオンラインセミナーでも有益な情報を発信していきますので、そういった機会を活用するのも良いと思います。

「改めて、ITリテラシーについて考えてみよう」、いかがでしたか。 記事をきっかけに情報セキュリティに関心を持ち、ご自身の会社の情報セキュリティ対策を確認してみましょう。


(ITコーディネータ 岩下 洋文)