Web3.0の概要と歴史をまとめてみます

最近、Web3.0(ウェブスリー)という言葉を耳にする機会が増えています。これはデジタル社会実現に向けたデジタル技術の概念としてイギリスのコンピュータ科学者でブロックチェーン基盤(仮想通貨などで利用)のイーサリアム共同創設者ギャビン・ウッドによって提唱され、世界各国でも注目されています。また国内では、経済産業省が今年5月の「経済秩序の激動期における 経済産業政策の方向性」の資料でもWeb3.0における期待事項とリスクに触れ、政府としてどう向き合うか説いており、普及、推進に向けた活動をデジタル庁含め検討しています。

 

今回のテーマは、何となく聞いたことがあるWeb3.0とはどのようなものなのか、その期待効果、リスクはどのようなものなのか経済産業省の資料も使いながら3回に分けて考えてみたいと思います。

 

第一回 Web3.0の概要と歴史について

まずWeb3の概要とWeb社会の歴史について、「経済秩序の激動期における 経済産業政策の方向性」の概要文を取り上げてみたいと思います。

 

デジタル技術の発展に合わせて、Web社会を3つの段階に分けて捉える考え方が登場。

【Web 1.0】:インターネット導入初期の段階。従前の手紙や電話といった手段に加えて電子メールがコミュニ ケーション手段に追加。ただし、一方通行のコミュニケーション。

【Web 2.0】:SNS(Twitter、Facebook等)が生み出され、双方向のコミュニケーションが可能に。他方で 巨大なプラットフォーマーに個人データが集中する仕組み。

【Web 3.0】:ブロックチェーンによる相互認証、データの唯一性・真正性、改ざんに対する堅牢性に支えられて、 個人がデータを所有・管理し、中央集権不在で個人同士が自由につながり交流・取引する世界。

 

 Web 3.0は新たな経済活動のフロンティアとして期待される一方、非集権的であるゆえに、金融システムへの影響や制裁逃れ・資金洗浄・詐欺への利用などのリスクを踏 まえ、政府としてどう向き合うかが問われる。

 上記では、Web1.0からWeb3.0までコミュケーションのタイプや情報の所有・集権度合いについて段階を経ていることが簡単に書かれています。

 

もう少し補足していきましょう。

まずWeb1.0ですが、時期は1990年頃~2000年代半ばのインターネット黎明期を指し、電子メールやサイトがWebの中心で、今や懐かしい「ネットサーフィン」という用語がはやり、夢中にWebサイトを閲覧したのではないでしょうか。実はこのWeb1.0という用語は、Web2.0が提唱されたときに定義されたので明確な概念・技術を定義していたわけではありませんが、コミュニケーションのタイプは一方向でインターネット上から情報を取得するRead-onlyといえます。

 

次にWeb2.0ですが、時期は2000年代半ばから現在(2005年という人もいる)を指し、Twitter、FacebookなどSNSによる書き込みに対し、コメントや「いいね」ができるRead and Writeの双方向コミュニケーションによって、よりインターネット上のコミュニケーションが取りやすくなったといえます。また専門知識が無くても簡単にホームページが作れるプラットフォームも登場し、利便性も高くなったといえます。しかしWeb2.0は、巨大プラットフォーマーといわれるGAFAMなどの台頭によって膨大な個人情報がそれらに集約され、サイバーテロや不祥事などによる漏洩リスクや消失リスクが高まっていることも事実です。つまり、特定の企業群による個人情報の中央集権・独占やプライバシーの侵害などがWeb2.0の問題点といえます。

 

そこで次世代のインターネットの在り方としてWeb1.0やWeb2.0の技術を踏襲しながらWeb3.0ではGAFAMの中央集権型で集約された個人情報をネットワークに分散・所有へと移行することが考えられ、その手法には仮想通貨などで利用されるブロックチェーンやNFTなど堅牢性の高い技術の利用が想定されています。よって、個人情報を中央集権型から自己管理の実現、プライバシー保護やセキュリティ向上が図ることが可能となります。また、今まで国や企業を介して個人間取引していた取引が直接できる、プラットフォーマー主導の経済からクリエイター主導の経済、つまりクリエイターエコノミー(仲介企業へのマージンが不要になる)などビジネスチャンスを生み出す効果も期待されています。

 

Web3.0での期待効果

・プライバシー保護・セキュリティ向上

・国や企業などに規制されない情報通信

・クリエイターエコノミー

 

【用語説明】

GAFAM:巨大IT企業のGoogle Amazon Facebook Apple Microsoft の頭文字をとったもの

 ブロックチェーン仮想通貨を実現するための技術として開発され、ブロックと呼ばれる単位で管理されたデータ(過去のデータ)を鎖(チェーン)のようにつなげたもの。ブロックの中身には取引履歴とハッシュ値と呼ばれる、過去のブロックとの整合性を取るための値が記録されている。ブロックチェーンの特徴としては悪意のある人物(攻撃者など)がブロック内のデータを改ざんしても、過去のブロックとのハッシュ値の不整合が発生し改ざんを検知できかつ過去のブロックのハッシュ値を変更することは極めて難しいため、仮想通貨に必要な信頼度に優れている技術。

 

 NFT:NFTとは日本語で非代替性トークンと呼ばれ、替えが効かない、唯一無二の情報をデジタルデータに付与したもので、例えばデジタルアート、ゲーム、漫画(デジタル)などに付与することで唯一無二のものとしてデジタルデータに資産価値を持たせることが可能である。ちなみに代替性のものとしてお金があるが、例えば千円を支払う場合財布の中に数枚の千円札があったとして、どの千円札を利用しても問題はない。

 次回はWeb3.0の期待効果や具体的な技術などを説明していきます。

 

(太田 雅一)