GAFAMに見るDXの実現②

GAFAM

前回はDXを説明するにあたり、わかりやすい事例としてGoogleを取り上げました。今回は残りのAmazonとFacebookについてです。両社とも知らない人がいないくらい著名な企業になりましたし、Amazonは利用したことがない人を探すのが大変なくらい多くの人に利用されています。ただ、両社とも最初から多くのユーザーに支持されてきたわけではありません。その革新性が当たり前になる臨界点で一気にユーザーを増やしてきました。では事例を見てみましょう。

(2)Amazon

Amazonは「欲しいモノは商店で手に取って買うもの」という既成概念を切り崩し、インターネット上でクリックするだけであらゆる商品が自宅にすぐ届くというサービスを提供し、ユーザーの利便性を著しく上昇させました。最初は一介のネット書店でしかなかったものが瞬く間に多種多様な商品を扱うようになり、ロングテールという新しい販売方法まで作り出しました。ロングテールとはインターネットを用いた物品販売の手法、または概念の一つであり、販売機会の少ない商品でもアイテム数を幅広く取り揃えること、または対象となる顧客の総数を増やすことで、総体としての売上げを大きくするものです。
また、スマートフォンの普及、画像認証技術の進歩からAmazon Goという無人店舗販売の形態を開発しました。Amazon Goアプリケーションをダウンロードしたスマートフォンを入店時に読み取り機にかざすと、個人が認識され、買い物がスタートします。カメラとセンサーを利用することにより、商品が棚から取られると、購入されたと認識され、そのまま決済されます。顧客にとっては、レジ待ちすることなくスムーズに買い物ができます。事業者にとっては、従業員を雇う必要がなくなり、万引き防止にも役立っています。Amazonが私たちに提供する価値は買い物の手間を圧倒的に省くことにあります。Amazonにより買い物の選択肢は広がり意思決定は迅速化し、商品の入手も迅速化されたのです。

(3)Facebook(現Meta) 

Facebookは、インターネット上での交流は匿名であることが主流の時代に、原則として実名登録が必要なコミュニケーションサイトを立ち上げ、人々から多くの支持を受けました。実名で登録をして利用すること、また30代から50代のビジネスユーザーが多いため、多額の広告収入を得ることに成功しています。TwitterやMeta社のInstagramとともにビジネスとの相性も良く、多くのビジネスサイトユーザーの獲得にも成功しています。また、ビジネスシーンで活用されることを考えると従来の電子メールによるやり取りからダイレクトなメッセンジャー利用にシフトすることを促しています。よりクイックリーなコミュニケーションが実現されることになります。マーケットプレイス機能も商品の売買を支援しています。比較的信頼のおける場で店を広げ、比較的信頼のおける人たちとの交流を通してビジネスが加速するような仕組みが設けられています。

 

次回以降、順次、DXの先駆者たちのモデルを解説していきます。お楽しみに。

 (ITコーディネータ 並木 政之)

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(注01)GAFAMは会社名の頭文字をとってネーミングしたものですが、Facebookは途中から社名をMetaに変更しています。しかしながらGAFAMの説明の一環から、本コラムでは旧社名のFacebook表記で統一しています。

(注02)フリー戦略とは「無料」を活用したマーケティング戦略で、2009年に「WIRED」の当時の編集長が出版した『フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略』で有名になりました。 とは言え、フリーをコンセプトにしたマーケティング手法は以前から存在しています。

(注03)デジタルガジェットとは目新しく、興味をそそる携帯型の電子機器。多くはスマートフォン、タブレット型端末、小型のデジタルカメラ、デジタルオーディオプレーヤーなどを指し、ユニークな見た目や機能を持つパソコンの周辺機器を含めることもあります。