受発注企業ともに約50%程度の業務時間削減効果が見られる企業間取引EDI

EDI


 本日の話は、小売・卸売業や製造業の部品発注など、BtoBで特定の取引先と頻繁にやり取りが発生する業界の方、月末、月初の請求書発行業務などで負荷が集中する方に特にご覧いただきたい内容です。


請求書や受発注書のやりとりに、郵送やFAX、メールへの添付という形をとっている中小企業様もいらっしゃるかと思いますが、不便を感じていませんか。
メールやFAXという手段が悪いということではないのですが、そのような手段でやり取りをすると、1度は手作業が必要になります。せっかく受注側が会計システムを入れて請求書を発行しても、発注側のシステムにそのデータを直接「支払予定データ」等として入力することができなければ、請求書を受け取った担当者は手動で入力することになります。
手作業が入ることで生産性がよくないのはもちろんですが、転記によるミスも増えます。手動を介することで金額を一桁間違えるなどという大きなミスを起こすリスクもあります。

そこで、データでやり取りできるようにするのがEDI(Electronic Data Interchange)です。企業間取引における受発注や請求書などの書類を、紙ではなくデータで直接やり取りする仕組みです。
EDIを使えば、会計システムの中で「送信」ボタンを押すなどという簡易的な操作で、直接相手先の会計ツールにデータが届きます。紙や添付ファイルのデータを打ち直すよりスマートに日々のやり取りを行う事ができます。

例えば製造業では、お客様の注文内容を直接システムに入力できるようになったことで、電話やFAXのやり取りを削減し、業務短縮やミスの大幅な低減を実現したという事例があります。また小売業において、EDIを導入することで、物流会社や多数の仕入先とのやり取りがスムーズになり現場の業務負担が減った等という事例も数多くあります。

EDIについては課題もあります。本来は、会計システムに依存せずどんなITツールでも標準EDIの仕組みでやり取りができるとユーザーにとっては嬉しいのですが、現段階ではEDIの規格がいくつかあり、取引先と同じ規格のツールを使わないことにはEDIの利便性を享受できません。


現在中小企業庁が進めている共通EDIとは、中小企業が受発注や請求書などの電子データ交換を行うための標準的な規格です。ツールに依存せずにデータがやり取りできることを目指しています。

▼中小企業共通EDI

▼中小企業共通EDIポータルサイト(ITコーディネータ協会)

さて、これからEDIの仕組みを導入したいという場合はどこから取り組めばいいでしょうか。現段階でいえることは、少なくとも取引先が利用しているEDIの仕組みとの互換性があるものを選ぶということが最優先になります。

また、中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールの導入を支援する補助金であるIT導入補助金という制度があります。そこでは「デジタル化基盤導入類型(複数社連携IT導入類型)」という申請の類型があります。会計・受発注・決済・ECソフトの導入において複数の中小企業、小規模事業者が同時にツールを導入する場合に1/2~3/4の補助が出る仕組みです。場合によっては取引先の企業様と一緒に互換性のあるツールへの移行を検討するのも一つです。

受発注等の業務はそれ自体が直接新たな価値を生む活動とはいい難く、極力省力化したいものです。省力化の結果、取引先との関係構築を強化するための活動に時間を割ければ、付加価値を作る活動等に繋がるのではないでしょうか。

ITC-EXPERTでは、IT導入補助金の活用や会計、ERP等の導入のご支援もしております。
ご支援の中で各企業様に合った具体的な内容もお伝えしておりますので、是非お気軽にお問い合わせください。

(ITコーディネータ 中山 幸子)