GAFAMに見るDXの実現①

DX_Google

前回よりDXにまつわる話をしてきましたが、ビジネスの変革を伴うDXを実践して成功している企業は米国に多いです。その代表格はGAFAMと言えるでしょう。GAFAMはみなさんご存じのGoogle、Amazon、Facebook(注01)、Apple、Microsoftの総称です。これらの企業は今までのビジネスモデルの二番煎じではなく、IT(特にインターネット)を活用して独創的なビジネスモデルを作っています。

 

Googleは「検索」の場を提供し、Facebookは「コミュニケーション」の場を提供していますが、利用者から料金を徴収するのではなく、その場に広告を出す企業から広告収入を得るというビジネスモデルを作りました。いわゆるフリー戦略(注02)です。

Amazonはネット通販の開拓者であり、手に取ってみないと購入できないという消費者心理を評価制度で変えました。最初は書籍という、品質が想定できるものを扱ってきましたが、今や生活雑貨全般、大抵の必需品は揃ってしまうというほど、すそ野を広げてきています。

Appleはデジタルガジェット販売(注03)でインターネットライフに彩を与え、生活をエンジョイすることをサポートしています。

 

Microsoftは基盤OSであるWindowsをベースにOffice製品などの販売がメインになっていますが、Cloudの基盤であるオンラインコミュニケーションツールのTeamsも売り出しています。

GAFAMのビジネスモデル自体はそれぞれ違いますが、共通しているのは全ての企業がデジタルやデータを活用してサービスや商品を提供している、という点です。もう少し詳しくGAFAMのメンバーを見ていきましょう。今回はトップバッターのGoogleを紹介します。

(1)Google

Googleは1990年代後半のインターネット黎明期に、当時主流だったディレクトリ型検索エンジンではなくロボット型検索エンジンを開発し、検索市場に参入しました。当時は現在ほど検索の重要性が認知されておらず、決められたアドレスを入力することにより目的のサイトにアクセスしていました。インターネット黎明期ですから、ネット上に存在するサイト数も、現在から比べると一桁も二桁も少ないものでした。

世界的に検索回数が急上昇している中、検索連動型広告をリリースして莫大な広告収入を得ることに成功しました。ネット上に場所を提供して広告収入を得るというモデルは今でこそ当たり前のモデルとなっていますが当時は斬新であり、以降のビジネスモデルの手本になりました。また、検索エンジンを起点としてGmailやGoogle PhotoやGoogle Driveなど数多くの関連商品を出しています。しかもその大半は無料であり、そこに掲載される広告から収益を上げているのです。人が集まれば広告のビジネスが展開できるという発想はインターネットを介してたやすく実現できるようになったのです。

 

次回以降、順次、DXの先駆者たちのモデルを解説していきます。お楽しみに。

 (ITコーディネータ 並木 政之)

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(注01)GAFAMは会社名の頭文字をとってネーミングしたものですが、Facebookは途中から社名をMetaに変更しています。しかしながらGAFAMの説明の一環から、本コラムでは旧社名のFacebook表記で統一しています。

(注02)フリー戦略とは「無料」を活用したマーケティング戦略で、2009年に「WIRED」の当時の編集長が出版した『フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略』で有名になりました。 とは言え、フリーをコンセプトにしたマーケティング手法は以前から存在しています。

(注03)デジタルガジェットとは目新しく、興味をそそる携帯型の電子機器。多くはスマートフォン、タブレット型端末、小型のデジタルカメラ、デジタルオーディオプレーヤーなどを指し、ユニークな見た目や機能を持つパソコンの周辺機器を含めることもあります。